知床5日目、最終日。今日も早起き温泉。朝食は「四方の海」。店名が記載された朝食券は僕の手にあるのだが(この朝食券というシステムも戦中戦後の配給食みたいでいやですね。客が名乗れば十分だと思うが)、レストランの入り口で申し出ると予約が入ってない。遅い時間を指定している他のお客さんのテーブルにとりあえず通してもらう。味噌汁は、テーブルコンロの鍋にダシ汁が入っていて、味噌と具を選んで自分で作る。好みの味噌汁を食べさせるというアイディアはわかるが、僕としては何もしないために旅館に来ているのだから働かされるのはいやだと思う。朝食から戻ると布団が片付けられていない。帰る客にはもうサービスしないということなのね。グランドホテルとは不幸な出会いだったと言うしかないな。
さて、知床から女満別空港へ向かう。往路は路線バスだったが、復路は急ぐ必要でもないのでゆっくり観光しながら帰ることにして、JALライナー(バスツアー)を予約しておいた。このバスを運行する網走バスが旅の最後を盛り上げてくれた。大型バスに4人しか乗客がいないというのもよかったし、何よりガイドの人(女性)が豊富な知識と話術で客を全然飽きさせなかった。車窓から畑を眺めながらの農業の話題は特に興味深かった。ホウレン草のように見えるのは甜菜(テンサイ)別名ビートまたは砂糖大根で、グラニュー糖の原料になる。収穫真っ最中なのは小麦。残った茎はロールケーキのように丸めて運び、家畜のベッドにするという。白くてかわいい花はジャガイモ。ニンジンは馬のエサになっている。アジサイとヒマワリが同時に咲いている(ヒマワリ畑なんてものもある)。米といえば「ほしのゆめ」や「きらら」が有名だが、実際は餅米をたくさん作って和菓子メーカーに出荷している。などなど。
オシンコシンの滝」と「網走刑務所博物館」を見学して、「網走オホーツクバザール」(網走市大曲1丁目14番19号、0152-44-3005)という場所でランチ。僕はオホーツク丼(ウニ、イクラカニ)、Sは野菜天ぷらそば。バス旅行の団体客用の店で、贅沢言っちゃいけない。小学校の給食と思うべし。それでも、Sの「エビ抜き天ぷらそば」という要求にもすっと応えてくれて立派だ。
以上で旅は終わり。ずっと涼しかったので、避暑という目的は十分果たせた。会心の食い散らかしができたのは、ウトロの「番屋」、羅臼の「いさみ寿司」、そしてプリンスホテルの「かざ華」でした。エクスカージョンは、ホエールウォッチングはずっこけたけど、昼間の自然観察、夜の星空観察ともに素晴らしかった。宿泊先は、グランドホテルよりもプリンスホテルのほうがお風呂も食事もずっとよかった。旅館に泊まるなら、石葉みたいに部屋数が少なくて行き届いたお世話をしてくれるところがいいのでしょうが、知床にはそういう旅館はないから仕方ないよね。