オスカー老近影

月曜日から土曜日までオスカー・ピーターソンがバードランドに出るという。とっくにリタイアしていると思っていたので驚いた。調べてみると79歳でまだ現役だという。ミュージシャン活動歴60年なのだそうだ。今年の10月には日本公演もやるとか。僕は特に彼のファンというわけではないが、やはりあのアート・テイタム系のピアノは長年聞いて耳にこびりついているし、いつのまにかCDもたまっている。何と彼のボーカルアルバムまで持っている。これは、確か昔タモリがFM放送で喋っていたと思うが、オスカーとナット・キング・コールは2人ともピアノを弾きながら歌うスタイルだったのだが、2人は友人同士で、オスカーはナットの歌には敵わないと思ってピアノに専念し、ナットはオスカーのピアノには敵わないと思って歌に専念したという。僕が持っているオスカーのボーカルアルバムは彼がまだ歌っていた頃の録音で、珍盤と言えるかもしれない。
で、土曜日11時からの、即ち今回の最終回のテーブルが取れたので行きました。1人$90というのはこれまで行ったジャズクラブのどのチャージ代よりも高い。ブルーノートで4人で歌って踊ってくれたマンハッタン・トランスファーよりも高い。オスカーは足が悪いらしく人の肩を借りてゆっくりとステージに上がった。彼が姿を現してからピアノの前に座るまで、客はほとんど全員が立ち上がって盛大に拍手した。当然だと思う。一緒に演奏するのはドラム、ベース、ギター。4人合わせて確実に200歳は越えている。
約50分の演奏。演奏のことは敢えて言うまい。あの早弾きを多様したスタイルは筋肉が衰えた老人にはきついと思う。オスカー・ピーターソンが生きてピアノを弾いているところをこの目で見ただけで凄いことだ。
立ち上がってビデオ撮影している非常識な白人女性がいたが、バードランドは店の外につまみ出す見識を示した。