港区白金台5-4-7 バルビゾン25 1F
03-5791-3715
最近雑誌やネットで評判をよく聞くカンテサンス。イゾラのグラナダグループ。2006年5月プラチナ通りに開店。メニューはなくてお任せコース1種類で10皿以上出てくる。すべての皿が常温〜60度で供され、食べたことのない斬新なアイディアに溢れたものばかり。シェフはパリの2つ星アストランスでスーシェフを努めた1974年生まれの若手・・・とまあ前評判(というか、たぶん手の混んだパブリシティ戦略)をあれこれ聞いて、がまんできなくなって予約を取った。
サービスの人に出迎えられてまずソファに座らされ、真っ白のメニューを見せられる。予約時に既に聞かれているが、再度アレルギーや好き嫌いについて質問を受ける。やがてテーブルに案内され、ワインの相談をする。お皿毎にお勧めのワインをグラスで出してもらうことにする(ニューヨークではよくあった所謂ワイン・テイスティングメニュー)。
まず前菜。「椎茸とセップ茸(ポルチーニ)のビスケット」はキノコ風味のビスケットという意外さに驚かされる。「サツマイモのスープとスイートポテト」は焼き芋の味に懐かしさを感じさせられる。「山羊のミルクのヴァヴァロワ、ユリ根とカシューナッツ」(ワインはTouraine Sauvignon 2005)は塩(フルール・ド・セル)とオリーブオイルが主役で、「こんなの食べたことない!」と感動する。「フォアグラとビーツと里芋のタルト、ビーツのソース」(ワインはGenurztraminer V.T.)は固い野菜と柔らかいフォアグラの食感が面白く、ビーツの甘いソースで優しくまとまっている。「生ツブ貝と焦がしアンディーブ、ジロール茸のピューレ」(ワインはAnjou Fouchardes 2004)はちょっとアイディアが足りない感じ。「帆立貝と蕎麦の実、蕎麦米のリゾット」(ワインはGruner Veltliner 2005)は帆立が最上のものでとっても美味しく、蕎麦の食感も楽しい。
いよいよメイン。「キジバタ、水菜のムース、島オクラ、アンキモのピューレ」(ワインはAuxey Duresso 2001−シャルドネ)。キジバタの火の入り方が素晴らしい。こういうのを「蝋燭のように光る火加減」というらしい。これは旨かった。次は「鴨のロースト、オレンジとクミンのソース」(ワインはローヌのCornas 2003)。3時間かけて1羽丸ごとオーブンで焼いたとのこと。これまた焼き加減が絶品。生肉のような柔らかさを保ちつつ香ばしさもあり、旨みも豊富。ただオレンジのソースは甘すぎた。塩だけで食べたほうが美味しかった。
チーズは「ロックフォール」(ワインはマルゴーのCh. du Tertre 1998)。ここからデザート。「マールのシャーベット」「二度焼いたビスキュイ(ケーキ)」「メレンゲのアイスクリーム」「キャラメルのギモーヴ(マシュマロ)」。以上、前菜6皿、メイン2皿、チーズ、デザート4皿、全部で13皿。
驚きがあって、様々な美味しさがあった。なお食後の胃の調子もよかった。
しかし、あえて言うと、サービスの人たちの振る舞いがぎこちなく、落ち着かなかった。決まったことはやってくれるのだが、何か頼んだりしたときの応用動作がいまひとつ。会話もあまりはずまない。もっと余裕をもって自然にやってほしかった。カンテサンスは決して安い店じゃない(2人で5万円ちょっと)から、全てに完璧じゃないとねえ。